近くのリッチモンドビーチに住む友人宅の庭にはか細くて小ぶりのリンゴの木がある。「トラックの荷台山積みのリンゴが採れた」とのことで、さっそくおすそ分けをいただきに行った。
「トラックの荷台のリンゴはすでに熟れて地上に落ちていたもの。ウサギがその上を歩いたかもしれないから、つけ洗いしてから食べた方がいいよ」。
と言われて見せられた荷台のリンゴはキズ、虫食い、熟れすぎで、これじゃウサギも敬遠しそう、というしろもので、手を出しかねていたら、「まだ木にたくさん実ってるから、いくらでも採っていいよ」と、高いところの枝を揺らせる棒も貸してくれた。ところが、木に成っているリンゴたちも、形や大きさは様々だし、いずれも茶色いスポットがあったり、虫食いなのか穴があいてたり。スーパーの粒ぞろいのリンゴに慣れた都会育ちとしてはすぐに優劣の審判を下し、「これは日本だったら、絶対廃棄処分行き。持って帰ったって、食べられるのかしら?」とがっかり。でも友人が「僕も手伝うよ」と言うので、帰るわけにもいかず、アランと3人で喋りながらリンゴ狩り自体を楽しんでたら、いつのまにか、イケアの大きなショッピングバッグとトレジョのショッピングバッグに一杯。こんなにもらっちゃって、でもご近所にもおすそ分けできるようなクオリティではないし、どうしよう、と思いつつ帰ってきた。
さっそく、比較的まともそうなのを切ってみたら、それでも果肉には茶色い線が走っていた。でもグーグルで調べたら、茶色い線はおそらく土壌のカルシウム不足で、食べても問題なく、おいしいはず、とあり、虫食いもそこだけ避ければ食べてOK.だそう。で恐る恐るたべてみたら•••おいしい!口に入れて噛んだ瞬間にフレッシュなエネルギーが広がり、元気をもらった気がした。自然に実った果実の滋養には栄養成分表では測れない価値がある。
というわけで、今週末は、リンゴづくし。まずリンゴのバター炒め添えのパンケーキのブランチを食べてから、ドライドアップルづくり。ベーキングソーダ水でつけ洗いしたリンゴの食べられるところだけを薄くスライスして今度はクエン酸水につけてから、水気を切り、シナモンなどスパイスを少々ふりかけてから、オーブンとエアフライヤーの脱水機能で乾燥。仕上げに天日干し。本当は天日だけで乾燥させたいけれど、シアトルのお天気はあてにならないので、妥協策。一部のリンゴはスライスして冷凍保存。あとはアップルソース、アップルパイもどき、、、しばらく家の中に甘酸っぱいリンゴの香りが楽しめそう。
で、不揃いでキズだらけのリンゴたちを見ていたら、よく考えてみたら、人間だってこんなものだなあ、という気づき。サイズも大きさも様々で、完璧な美人なんていないし、(これはいちど、ハービンガーというカリフォルニアのヒッピー•ヌーディスト温泉に行って裸体の群衆を見た時に実感)、誰もがどこかに、みえる、みえないキズや病気を抱えているし。人間を採取して新たなハイブリッドつくろうと地球に来た宇宙人も、私がトラックの荷台もリンゴの山見たときに感じたような失望を覚えるのかもしれないーーと思ったのでした。
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